鈴木いづみを知っていますか

いま鈴木いづみに興味を持って調べている。調べているといっても彼女に関した本を探して読んでいるだけだが。

まず彼女は作家だったわけだが、36歳のときに自殺した。それも一人娘の前で。その時娘はまだ小さかったようだが、普通の神経ではそんなことはしない。

 うつ状態だったのだろうか。うつで判断も鈍っていたならそういうことも仕方ないかなと思う。

 ただ目の前で親に死なれた子はどんな人生を送るのだろうかと、娘のほうに関心が移る。

 その娘鈴木あづさが母親のアンソロジーを作っていると知ってまた驚いた。わたしの想像だとそういう親には拒否感があってたとえ作家だとわかっていても書いたものも見るのもいやだとなるんじゃないかと思っていたので、これが意外。

 娘が作った本は「いづみ語録」文遊社で出ている。文遊社はいづみが死んだ後、追悼文集みたいなものも作っている。編集者でいづみを買っていた人がいるのだろうか。

 鈴木いづみは1949年静岡県伊東市で生まれ、高卒後伊東市役所勤務。1年足らずで退職上京、早い時期から小説を書いていたようですが、ピンク映画女優をしながらも小説は書き続きけ、69年「小説現代小説賞」の候補作品に選ばれました。その後寺山修司主宰の劇団「天井桟敷」に参加。その特異なキャラクターで一躍時の人となりました。アルトサックス奏者阿部薫は小柄で無口の同い年の青年でしたが、その演奏は情熱的で有名でした。また癲癇の持病があって、演奏中に昏倒することもたびたびあったようでした。鈴木は彼の才能に惚れ結婚、一女をもうけますが離婚。同棲中に足の第5指を包丁で愛の証として自ら切断というスキャンダラスな事件を引き起こしたりしました。彼らは互いに惹かれあうと同時に傷つけ合い、ボクサー志望だった阿部は時には激しい暴力を鈴木にぶつけたようです。鈴木の顔にあざが残り、前歯が欠損したのがその証拠です。しかし、阿部薫は29歳で薬物中毒で死去。いづみは86年、自ら命を断ちました。